海外企業調査

ビジネスインテリジェンスとは

インテリジェンスの直訳は「諜報」ですが、この意味を正確に理解している方は少ないでしょう。インテリジェンスとは様々な情報を収集し、その断片的な情報を総合的に分析することによって対象企業や個人、特定のトピックに関する全体像を把握すること。そして、その結果を自身の利益のために活用する一連のプロセスを指します。そして、これがビジネスの世界で用いられるとビジネスインテリジェンスと呼ばれることになります。

諜報には「情報収集」と「情報分析」の二つの要素が含まれます。この二つのプロセスを遂行するための能力は相反するとされ、例えばCIAでは情報収集を行うエージェントはケースオフィサー、情報分析を行うエージェントはアナリストと呼ばれ、これらは完全に区別されています。一般的にケースオフィサーは魅力的で人なつっこい者が向くとされ、アナリストは理論的な者が向くと言われています。

情報収集

情報収集を行なう際、我々が考えることは二つ;
「目的の情報がどこにあるか」そして「その情報をどうやって入手するか」ということです。

簡単な例として、特定のアメリカ企業の登記情報を考えてみましょう。まずは「情報がどこにあるか」を考えます。登記事項ですから、役所に保管されている書類に記載があるはずです。次は「どうやって情報を入手するか」です。企業の登記情報は一般に公開されていますから、役所に出向く、郵送で送ってもらうなどの方法を思いつくでしょう。情報は目に見えないものです。書類に記載されているものだけが情報ではありません。情報が記憶として「頭の中」に保管されている場合もあります。従って、情報収集には関係者へのインタビューも不可欠であり、我々の腕の見せ所ということになります。

情報分析

情報収集プロセスで集められた情報は断片的なものです。インテリジェンスはジグソーパズルに例えることが出来ます。一つ一つのピースは収集された情報の断片であり、それぞれのピースを見ただけでは完成図がどんなものか見当も付きません。そこで、あれこれ苦心しながらピースをはめ込んでいきます。すると多少抜けた部分があっても全体像を推測することが出来るようになってきます。インテリジェンスも同じです。例えば、ライバル企業が新しく建設を予定している工場について調べるとします。公開記録や関係者へのインタビュー、現地調査によって、敷地面積、駐車場スペース、建設請負会社、入札情報、求人が行なわれている職種と人数、役所への届け出などに関する情報を確認し、それらを総合的に判断することによって工場の全体像を正確に導き出すのです。

「企業調査のプロセスと情報収集」に進む