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調査コラム

2010/3/9 火曜日

ポンジスキームの被害者

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 0:11:51

先日、FBIによってこんな事件が報告された。
 
ミシガン州に住むある兄弟。ビジネスで成功を収め、地元でも良く知られた存在だったらしい。ところが、ガス・オイル採掘の詐欺的な投資話に乗ってしまい、ポンジスキームの被害者になってしまった。
 
この事件を聞いたとき、かなり前のことだが、詐欺的な投資話、資金集めで問題になり、逮捕者も出た日本のある団体について思い出した。
 
実は、私はひょんなことからこの団体の内部事情を知ることになったのだが、当時、その団体の代表が「予定通りに支払い(リターン)ができなくなったのは警察のせいだ」「警察が介入しなければ全て順調だった」としきりに言っていたのを覚えている。
 
前者のアメリカの例と後者の日本の例。目についたのは被害者の対応の違いだ。アメリカの例では、自分達が騙されたことに気付いた後であっても、この兄弟は当局に通報しなかった。その代わりに、彼らはフロント企業を立ち上げ、自分達が被害に遭ったガス・オイル採掘という同じストーリを用いてポンジスキームを企て、それを実行した。当然、徐々に首が締まってくることになるが、支払いが遅れていることについては、資金がアメリカ政府等によって差し止められているからだと投資家達に説明し、当局に協力すると支払いが更に遅れるとまで言っていたらしい。この種の輩というのは同じような口実を使うものである。この事件は、この兄弟の口座に巨額の金額が動いていることを銀行が気づき、それをFBIに通報したことがきっかけとなって発覚し、昨年末、この兄弟に実刑判決が下された。それにしても、腹いせか、本気で金儲けができると確信したのかは不明だが、詐欺の被害者が自身の経験を基に詐欺の実行者に身を転じるというのはあまり聞かない。
 
一方、後者の日本の事件についてだが、少し前にその団体の代表が出所したこともあり、当時の被害者のコメントがマスコミに流れているのを目にしたことがある。今だにリターンを得られなかった原因は警察の介入と信じている人がいたり、夢を見させてもらったなどと呑気なことを言っている人もいるようだった。
 
日本人のほうがポジティブシンキングということなのか、アメリカ人のほうが貪欲なのか、私にはよく分からないが、同じような手口でも被害者によって異なる対応が見られたことは興味深いところである。

2010/2/15 月曜日

調査員を調査するとき

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 6:44:01

CFEを含め、我々のような業界に身を置く者は、犯罪者の手口とその捜査方法に精通している(少なくとも、そういうことになっている)。従って、最も首尾よく犯罪を実行できるのは誰かといえば、それは私達ということになるのかもしれない。そして、その一線を画しているのは、プロ意識に他ならない。
 
ただ、悲しいことに、不正な手段によって甘い汁を吸っている多くの輩を見ているうちに、彼らの領域に身を転じてしまう調査員もいる。
 
これは警察官についても同じである。例えば、ドラッグハウスを急襲し、麻薬と多額のキャッシュを発見したとしよう。その麻薬とキャッシュをどのように扱うかは、本当に現場の捜査員の職業意識にかかっている。残念だが、金に目が眩み、キャッシュをポケットに入れてしまったり、押収した麻薬をストリートに流して儲けようと考える警察官がいることも事実だ。何年かに一回は、必ずこの種のスキャンダルが出てくる。
 
ここ最近、そういった「仲間内」を調査する機会が何度かあった。
 
まずは警察官。次に保険会社の弁護士、そして同じく保険会社の特別調査部(SIU)の調査員である。
 
当然だが、警察官や調査員のような裏事情を知っている者を調査するのは簡単ではない。彼らは追っ手の手法を熟知しているからだ。彼らを調査するには、ある意味、意表を突くような手法を用いる必要がある。一方で、先日のコラム「犯罪者の視点」とも関連するが、調査員という立場を踏まえた上で、自分だったらどうするかという視点から捜査プランを立てることも大切だろう。いずれにせよ、正攻法では太刀打ちできない。
 
実際、警察官のケースでは、いくつもの住所を巧みに使い分け、所在が特定できないように細工がされていたし、SIUの元調査員は、外が暗くなるまでは絶対に外には出てこなかった。
 
仲間内を調査する場合、どこから情報が漏れるか分からないので、案件の内容にもよるが、全ての資料に偽名が使われることもある。対象者の本当の名前を知っているのは上層部のごく一部だけという状況で調査を進めるのである。

2010/2/9 火曜日

公平な裁判とタトゥー

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 10:05:23

人間関係では第一印象が大切という話はよく耳にすることだが、その中でも容姿、つまり最初に目に映った印象というのは後々まで残るものだ。
 
裁判においても、陪審員の目に映る容疑者の第一印象は、案件の行方を左右する要因の一つとなり得る。我々も、法廷で証言するときは、プロフェッショナルな調査員にふさわしい身だしなみを心掛けるし、凶悪な犯罪者であっても、裁判所ではきちんと髪を整え、白のワイシャツにネクタイ、控えめなスーツに身を包み、まるで別人のように大人しくしている様子をよく見掛ける。もちろん、これは「Good Citizen(善良な市民)」を演出するためである。
 
先日、こんな話題があった。フロリダ州のある男性が殺人罪と殺人未遂罪で逮捕され、裁判が開始された。
 
a.jpg
 
この写真をご覧頂ければお分かりのように、いかにもというか、何とも近寄りがたい風貌の男性だ。また、この男性はネオナチで、体のあちこちにタトゥーを入れている。
 
こちらでは、日本に比べるとタトゥーに対してそれほどマイナスなイメージが強いというわけではないが、それでも、やはり好ましいというものではない。特にこの男性の場合、ネオナチのタトゥーやいわゆるティアドロップ*を入れており、ギャング丸出しである。
 
こんな男性が容疑者として目の前に立っていれば、陪審員とて彼に対して否定的になるかもしれない。そして、そんなことを危惧した裁判官は、この男性のタトゥーを消すための作業を公費で負担することを決定したのである。興味深い点は、消去の対象となるタトゥーは逮捕後に彫られたものに限定された(厳密には、犯行後とすべきところだろうが)ことである。
 
容疑者の人物像を示すために、過去の犯罪歴などが考慮されることはあるが、タトゥーもそういったものの一つなのだろうか?わざわざ公費で犯行時の容姿を「復元」することによって、公平な裁判が達成されるということなのだろうか?
 
色々な意見があるだろうが、関係者の間で話題になったトピックだった。
 
 
* ティアドロップのタトゥーというのは、目の下に入れられた涙粒形のタトゥーのこと。

2010/2/2 火曜日

就労意欲

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 1:48:34

以前、ある管理職者向けのセミナーに参加したときに、人の就労意欲をかきたてるものは何かというトピックがあった。そのときの資料がどうしても見つからず、二位以下の結果についてご紹介することはできないのだが、トップにランキングされていたのが「やりがい、満足感」だったことを良く覚えている。
 
この種の情報はあちこちから発信されているし、当然、結果にバラつきはあるだろうが、少なくともそのリサーチにおいては、人が最も仕事に対して求めるものが報酬ではなかったということは、興味深いところである。
 
このセミナーを受けたとき、ある以前の上司を思い出した。彼と私は、ある企業でセキュリティー・内部調査担当として仕事をしていた。正直、報酬面での不満はあったが、職場環境が非常に良く、私もその上司も充実した日々を過ごしていた。
 
当時のCEOは、従業員達から信頼の厚いA氏。私の上司によると、A氏は彼のプロフェッショナルな意見に必ず耳を傾け、いざ何かを実行するとなると、A氏は私の上司の能力を信頼し、結果へ至るまでの手法についてはあれこれと口を挟まず、最後まで見守ってくれるとのことだった。確かに、そこまで信頼されれば、何が何でも期待に応えようと思うのが人情というものだろう。あのときは、全てがうまく回っていたと思う。
 
ところが、A氏が定年退職になり、後任としてB氏がCEOの座に就くことになった。A氏と違い、B氏は命令的で、私達の仕事に対しても、細かなところまで詮索するようなタイプだった。結局、私の上司は退職してしまった。勤続12年目のことである。
 
彼が社を去る最後の日、普段は仕事に徹し、あまり個人的な話はしたがらない彼が「俺が辞めるのは、報酬が悪いからじゃないんだ。報酬が問題だったら、10年以上もここで働いたりしない。辞めるのは、B氏の下ではこの仕事にやりがいを感じることができないからなんだ」と語った。
 
単に人間関係の問題、新しいCEOとのウマが合わなかったといってしまえばそれまでだが、私にはそんな単純なものではないように映った。
 
確かにそうかもしれない。我々は自分達の能力が評価され、求められて仕事をしていくなかで自分自身の存在意義を確認し、それが日々の充実感へ繫がっているのかもしれない。我々と仕事と結びつけているものは、必ずしも単なる生活の糧としての報酬ではないということにも頷ける。もちろん、これが全ての人に当てはまるはずはないだろうが。
 
その後、私の上司は州政府の捜査官になり、現在は、主に刑務所内で発生した事件・事故の捜査にあたっている。私と共に仕事をしていたときに比べ、報酬はかなり跳ね上ったらしいが、そんな今、彼は何を感じているのだろうか?
 
ちなみに、彼の口癖は「Everything has a solution(どんなことにも解決策はある)」。調査に行き詰ると、この言葉を思い出し、自分を叱咤するようにしている。

2010/1/25 月曜日

内部規定の施行

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 5:22:33

よく、立派な内部規定があるのだが、それが適切に機能していない状況を見掛ける。それは、従業員達に当該規定の背景、言い換えれば、規定者の意図が伝わっていないからだ。
 
私が実際に経験した、こんな単純な例をご紹介しよう。
 
あるレストランでのこと。このレストランでは、夏場にある公園の一部を借りて、野外バーベキューを催していた。食材保管用に大きな冷蔵庫を持ち込み、それを公園の片隅に置いておいた。営業中、冷蔵庫の近くに常に誰かがいるわけではない。冷蔵庫の食材に異物などを入れられたら大変なことになるし、食材が盗まれても困る。ところが、その冷蔵庫にはカギが付いていなかった。そこで、丈夫なワイヤーケーブルで冷蔵庫のドアを固定し、それをダイヤル式のカギで施錠しておくことにした。当然、カギを開錠するための番号を知っているのは従業員達だけのはずである。
 
数日後、私が見回っていたところ、冷蔵庫にはきちんとワイヤーが掛けられ、施錠がなされていた。ところが、その冷蔵庫には「このカギを開けるための番号は○○××○○です」というメモが張られていたのである。
 
当たり前だが、これではメモを読めない動物からは食材を守ることができるかもしれないが、カギがついていないのと同じだ。
 
こんな例もある。以下の写真をご覧頂きたい。
 
1.JPG
 
これはあるスパの一室なのだが、ある理由でアクセス制限がなされており、手前の部屋から向こう側の部屋に行くには、パスワードを入力して施錠されているドアを開ける必要がある。ところが、ご覧のように、ドアにはパスワード(しかも極めて単純な)が書かれたプレートが貼られており、これでは何のための施錠なのか分からない。
 
こんなことが起こるのは、ドアを施錠しておけという規定だけが一人歩きし、部外者のアクセスを阻止するためという規定の趣旨が従業員に伝わっていないからだ。
 
随分前のコラム「人の習慣(2008年8月)」で、頑丈な鍵が付けられたドアであっても、いちいち上司に許可を得てカギを受け取るのが面倒なので、物をはさんで開けた状態にしておいてしまうことがあると触れたが、こんな冗談のような事例をいくつも見たことがある。ちなみに、先述のスパを数日後に訪れたところ、施錠ドアは開いたままゴミ箱で固定されていた。
 
 2.JPG
 
社内教育の重要性については今更触れるまでもないだろうが、何か新たに内部規定を定めた場合には、その意図するところを理解させなければ、期待するような効果を得ることはできない。冷蔵庫のカギのケースは、それを示すよい例だと思う。

2010/1/17 日曜日

虚偽の供述 −気球騒動にて−

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 23:41:11

日本でも報道されたようなのでご存知の方も多いかと思うが、先日、こんな事件があった。
 
コロラド州に住むある夫婦が、6歳になる息子が自家製の気球に乗り込み、そのまま飛び去ってしまったと通報した。アメリカでは、少なくとも建前上は子供達は財産であり、何をしても保護しなければならないということになっている。もちろん大騒ぎになり、軍や地元警察が出動し、大掛かりな捜索が行われた。
 
程なく気球は発見されたのだが、なぜかその男の子は見つからなかった。どこかで落下してしまったのではと、引き続き捜索が行われたのだが、やはりこの子は見つからなかった。
 
ところがその後、この夫婦は、実は息子は気球には乗っておらず、家に隠れていただけなので何事もなかった、子供の悪ふざけだったと言い出した。
 
まあ、子供は無事だったのだから、一安心だ。メディアはこぞってこの話題を取り上げた。CNNもその一つで、この夫婦と息子はラリーキングショーという、CNNのニュース番組に出演することになった。ところが、なぜ隠れていたのかと聞かれた子供が(親に向かって)「ショーのためにやったって言ってたでしょ」と回答したのである。
 
実際のインタビューの様子については、以下をご覧いただきたい。
 
http://www.youtube.com/watch?v=wI6UONWCq7A  
 
http://www.youtube.com/watch?v=uhhojrxx3Sg  
 
*最初のリンクの0:34辺りで、子供が “You guys said that, um, we did this for the show”とコメントしている。
 
今だからいえることかもしれないが、あらためて見てみると、特に二つ目のリンクでは、状況を説明している夫の話しぶりは確かに不自然だ。素人目にも、ストーリーを考えながら話している様子が見て取れる。この夫婦は俳優養成所で知り合ったとか。この事件をきっかけにメジャーにと考えていたらしいが、俳優学校に通っていたとしても、心の葛藤をコントロールすることには慣れていなかったのだろう。
 
このインタビューの様子は、全米ネットワークのCNNを通じて生放送されており、子供の正直な一言によって狂言が発覚。アメリカは納税者意識が強い国だ。ヘリコプター、飛行機、作業員など、捜索にかかった費用は莫大である。この夫婦は一気に批判にさらされることになった。
 
この夫婦の妻は日本国籍とのこと。普段、アメリカでは、好ましくない話題で日本人が登場することは少ないのだが(最近では三浦事件くらいだろう)、今回、しきりにメディアで「日本人妻が」と報道され、不快感を覚えた日系人は私だけではなかったようだ。全く、呆れた話である。

2010/1/11 月曜日

サインインシートの危険性 3

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 5:25:02

さて、最初の「食い逃げ事件」では、ビジネスセンターの受付に利用者のサインシートがさらされていたことが事態の発端となったわけだが、最近は記入済みの訪問者の名前をシールで隠し、あらたな訪問者が盗み見ることが出来ないようにしているところもある。
 
ちなみに、私が扱う労災保険詐欺では、不正受給者(対象者)の普段の動きと見比べるために、アポイントの日に病院や弁護士事務所で彼らを待ち伏せることがある。そんなとき、私達は対象者が既に到着しているかどうかを確認したり、容姿を確認するためにサインインシートを見ることがあるのだが、シートが隠されていたりすると、我々は泣かされることになる。とはいえ、それはあくまでも調査員の視点から見た話。ID詐欺の防止という意味では、サインインシートに書かれた訪問者の名前は第三者の目に触れないようにしておくべきだろう。
 
次にホテル内でのレストランについてだが、私自身は、宿泊といえばいつも安いモーテルばかりなのであまり縁はないのだが、以前、ある方とラスベガスのホテルで食事をし、支払いを部屋付けにした際、IDの提示は求められなかったし、部屋のカギを見せる必要もなかったのを良く覚えている。それなりのホテルだったし、こういったことは日常的なことなのだろう。
 
今回、レストランのウェイターやバレーの担当者が容疑者のIDをチェックしなかったのは、彼の「雰囲気」を鵜呑みにしてしまったからである。以前、ホテルにおいて、いかにもカギを部屋に残したままドアをロックしてしまったという雰囲気を作り出すため、バスローブを着たままフロントデスクに駆け寄り、名前と部屋番号だけ伝えて、カギを発行させる手口について触れたことがある。詐欺師というのは、そういった雰囲気作りが非常に上手い。ウェイターやバレーの担当者は日頃からたくさんの顧客と接しており、無意識のうちにプロファイルを行い、問題のない顧客イメージというものを作り上げている。そして「身なりが良く、話し方に品がある(それなりの身分の人に違いない)」「ベルマンと出てきた(宿泊客に違いない)」等々、これまでに問題のなかった顧客像と一致する者については、警戒が緩みがちになるのである。犯罪者達はそれを良く知って、そういった雰囲気を周到に用意してことに及ぶ。
 
様々な要因が重なり、今回の事件は起こった。人というものはミスを犯すものだし、ミスがなくことも、不測の事態は起こりうるものだ。そのことを前提とした上で、多重防衛的な対策を施しておくことが大切だと思う。

2010/1/4 月曜日

サインインシートの危険性 2

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 10:47:50

レストランを出た後、この男性はベルデスクへ行き、預けた荷物を受け取り、それをベルマンに持たせて正面入り口のロータリーへ向かった。そこでバレーの担当者に自分の車を回してくるように伝えた。男性は、チケットの半券は失くしてしまったが、自分の車はあれだと、駐車場に入りきらずに傍に停めてあった、レンジローバーを指差した。内部規定では、こういった場合、顧客のIDをチェックし、それが車両の登録者と一致するかどうかを確認しなければならないことになっている。ところが、バレーの担当者はそれを怠った。ベルマンを引き連れて颯爽と出てきたこの男性を不審に思うことはなく、1000万円近いレンジローバーを正面入り口に横付けし、この男性にカギを渡してしまったのである。これが三つ目のミス。こうして、この黒人男性は食い逃げだけではなく、まんまとレンジローバーを乗り去ったのである。
 
もちろん、車両の本当の持ち主が現れてからは大騒ぎだ。担当したロス市警の刑事が横着だったこともあり、この黒人男性がビジネスセンターで使用したパソコンの履歴を調べて記録したり、監視カメラの映像をチェックしたり、関係者へインタビューしたりといった、基本的な捜査は私達が行うこととなり、案件は警察へ引き継がれた。
 
数週間後、この車両はロス郊外で見つかった。最近、警察のパトロールカーには特殊なカメラが取り付けられており、移動中、走っている他の車や道端に駐車している車のナンバーを自動的に読み取り、盗難車リストと照合させるというシステムが導入されている。運良く、レンジローバーはこれに引っかかったのである。
 
LAPDの刑事によると、その後、車両内における指紋採取がなされ、犯罪者の指紋データベース検索により、容疑者を特定。これがホテルの監視カメラに映った男性と同一人物である可能性が極めて高かったため、逮捕に至ったとのことだった。

2009/12/29 火曜日

サインインシートの危険性 1

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 10:41:32

ビルの警備窓口や病院の受付など、サインインシート(訪問者台帳)に名前や到着時刻を記入しなければならない場所は多い。
 
高だか訪問者の名前と思われるかもしれないが、いくつかのミスが重なると、思わぬ事態に発展してしまうこともある。私が扱った事例をご紹介しよう。
 
舞台はホテル。品の良いスーツに身を包んだ黒人男性が正面入り口から館内へ入り、まずはベルデスクへ。大きな荷物を預け、そのままビジネスセンターへ向かった。ビジネスセンターのカウンターにはサインインシートが置かれており、利用者は自身の名前と宿泊部屋番号を記入するようになっている。この黒人男性は「Ray Jackson, #3076」と記入し、センター内のパソコンを使い始めた。実は、3076号室というのはそのホテルには存在しない。にも関わらず、ビジネスセンターの担当者がそれに気づかなかった。これが最初のミスということになる。
 
パソコンを使用後、この黒人男性はキャッシュで支払いを済ませ、ラウンジのレストランへ入った。そこで60ドル以上の食事を済ませ、ウェイターが請求書を持っていくと、宿泊客だから部屋へつけてくれとのこと。ここで男性は、請求書に「Robert Lanigan, #1512」と記載し、サインをした。チップも50%以上加えられている。実際、1512号室にRobert Laniganという男性が宿泊していたし、ウェイターは50%のチップに気分を良くしていたのだろう。男性のIDをチェックすることなく、彼をそのままレストランから出してしまった。これが二つ目のミスだ。
 
この黒人男性がどこで「Robert Lanigan, #1512」という情報を入手したのか?ご想像の通り、ビジネスセンターである。彼がサインインシートに「Ray Jackson, #3076」と記入する際、既に記載してあった、少し前にビジネスセンターを利用した者の名前と部屋番号に目をやり、それを記憶したのである。ちなみに、以前のコラム(http://i2bconsulting.com/blog/?p=112)でも触れたが、宿泊客の情報がドアノブに掛けられた朝食のルームサービスメニューから漏れてしまうということもある。
 
この男性は、レストランではいわゆる食い逃げしたということになるが、チップを50%も乗せたのも当然だろう。自分の懐から出るわけではないのだから、太っ腹にもなるというものだ。だが、この事件は単なる食い逃げには終わらなかった。 (次回へ続く)

2009/12/22 火曜日

小切手の換金

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 3:06:30

こちらでは、給与の支払いからリベートによる返金に至るまで、支払いには小切手が用いられることが多い。普通、小切手を受け取ったら、受取人は自身が口座を持つ銀行へ持ち込む。その場合、すぐには換金はなされない。小切手は発行元の銀行へ回され、十分な預金額が確認された後に受取人の口座へ入金されることになる。もちろん、例えば、真正のサインを用いて小切手が偽造された場合にはリスクが発生するが、小切手のサインが明らかに登録のものと違ったり(一応、銀行は小切手のサインを登録のものを照合しているということになっている)、預金額が不足していた場合には、支払は保留されることになるから、銀行側が被害を被るということはない。
 
ところが、小切手が小売店等で使われる場合には、店舗側は利便性を売りに顧客を呼び込むことができる代償として小切手が換金不可となるリスクを負うことになり、それは、小切手の換金業者においても同様である。
 
こちらには、小切手の換金サービスを提供している業者がたくさんある。手形割引と似たようなものなので説明は不要かもしれないが、小切手を銀行に持ち込むと、先述の通り、キャッシュを受け取るまでに下手をすると数日かかってしまう。こういった業者は、手持ちが少ない人のために、小切手をその場で換金する代わりに、小切手が換金されなかった場合のリスクを負う代償として手数料を取って利益を上げているのである。早さを売りにしているので、小切手の金額によっては残高の確認が省略されることもあるらしく、常に小切手を使った不正には頭を悩まされているようだ。
 
通常、小切手換金業者の手数料は額面の1.5から5パーセント。銀行へ持ち込めば手数料はタダなのに、なぜ小切手を換金業者へ持ち込む人がいるのか?もちろん、換金までの数日間を待てないという懐事情もあるのだが、これには銀行の口座維持手数料が関係している。口座の維持手数料は、月あたり15ドル程度だ。低所得者にとっては、キャッシュをその場で手にすることができることを考えれば、高い手数料を払ってでも、銀行口座を持たずに、小切手を換金業者へ持ち込むほうがメリットがあるのである。
 
ちなみに、先日発表されたFDIC(米国連邦預金保険公社)のリサーチによると、総世帯の四分の一が銀行と無縁の生活を送っているらしい。言うまでもなく、収入が多い者ほど小切手換金業者を利用しない傾向は高くなる。興味深いのは人種別の割合だ。銀行と関わっていない者のうち、31.6パーセントは黒人、24パーセントは中南米系らしい。白人は14.9パーセントで、アジア人にいたっては7.2パーセントとのこと。やはり、我々アジア人は堅実ということになるのかもしれない。
 
参考:http://www.fdic.gov/unbankedsurveys/

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