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調査コラム

2008/8/25 月曜日

返品不正

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 5:53:17

商品の返品が不正に利用されることがあることは、ACFEのマニュアルにも掲載されている。アメリカでは日本と比較にならないくらい返品は一般的なことであり、それを受け付ける店側の基準も信じられない程低い。購入したTシャツを何回か使い、それを洗濯し、しかも縮んだ状態で返品してしまうこともあるのだから、驚きである。
 
私自身、先日、浄水器のフィルターを返品したのだが、その際、店員は中身を確認すらせず、箱のバーコードをスキャンしただけで、あっさりと受け付けてしまった。
 
あるリサーチによると、返品不正の被害額は年間96億ドルを超えるそうだ。
 
特に競争の激しい小売業界では、店側は多少疑わしい点があっても返品に応じるようにして、顧客を囲い込みたいと考えている。そんな理由もあり、信じられないことだが、少し前まではレシートがなくても返品に応じる店舗もあった。当時は、割引券を使って購入した商品を返品し、正規の値段で返金を受けるというような手口も流行っていた。
 
ところが、最近はあまりに不正が横行してきたため、店側の積極的に対策を講じるようになってきた。
 
あるケースでは、返品されたiPodsの中身を調べてみたら、バッテリーとチューインガムだけが入っていて、装置が抜き取られていたことがあった。
 
また、頻繁にアップグレードが行われる電子機器などは、しばらく使った後に返品し、新しいバージョンのものと交換していく行為を繰り返す例も見られた。
 
こんな状況では、返品カウンターにいつも長い列ができているのも頷ける。
 
原因の一つは、返品可能期間があまりにも長いことだ。通常、購入日から90日(3ヶ月)以内であれば、返品できることが多い。これでは、散々使ってから商品を返品してしまえと考える輩が出てくるのも不思議ではない。
 
一方で、大手家具店のIKEAなどは、返品不正の増加傾向を鑑み、商品に明らかな欠陥がある場合を除き、開封後の返品には一切応じないという方針を取っている。ただ、この方針も考えもので、IKEAは「商品が気に入らなければいつでも返品して下さい」と大きく宣伝しているのに、いざ返品しようとすると開封してあるからといって拒否するというのもおかしな話である。IKEA製品のほとんどは組み立て式であり、箱を開けずに「気に入る」かどうかを確認することなどできるわけはない。
 
いずれにしても、バランスが大事だ。IKEAのような方針を打ち出せば、返品担当の従業員は何も考える必要はないし、返品不正も減るだろが、顧客の足は確実に遠のいていく。適切なトレーニングを施し、正規の返品と不正な返品を見極めるための手順を徹底していくことが大切だと思う。

2008/8/19 火曜日

DNAの新技術

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 0:26:37

以前にも触れたジョン・べネ事件。美少女コンテストの常連だった少女が殺害され、その後、海外で英語教師をしていたアメリカ人男性が自供したりしたのが、未解決のままとなっている事件である。いまだにこちらでは注目度が高い事件だ。
 
この事件に絡んで、DNA鑑定の新しい技術、タッチDNAというものが注目されている。通常、DNAを鑑定するためには、血液や唾液、毛根付の毛髪などが必要なのだが、このタッチDNAでは、文字通り、標本者がわずかに触れたものからDNAを採取することができる。
 
私は科学者ではないので100%の理解ではないが、付着した指先の微細胞を用いて、DNAを再現するというもののようである。
 
この新しい技術によって、ジョン・べネ事件の容疑者として長年疑いの目を向けられてきた両親が、正式に捜査の対象から外されることになった。ジョン・べネの衣類に付着していた犯人のDNAが、両親をはじめ、どの関係者とも一致しないことが明らかになったからだ。
 
しかし、犯人はまだ特定できていない。それは、DNAや指紋など、科学証拠には共通する特徴があるからである。それは、科学証拠は比較する対象物が存在してこそ力を発揮するということだ。
 
現在までのところ、ジョン・べネの衣類に付着していたものと一致するDNAを持った人物は特定できていない。DNAのデータベースが構築され始めてから、犯人はメジャーな犯罪を犯していないのだろう。
 
特に、性犯罪者はその性癖を矯正することができず、犯行を繰り返すといわれている。日本でもアメリカでもDNA鑑定によって冤罪が明らかになったり、何十年も後に真犯人が逮捕されたりするケースが増えてきており、今後、タッチDNAに頼る機会は増えていくにちがいない。また、タッチDNAは、性犯罪以外の多くの犯罪捜査にも活用できるはずである。DNAデータベースの構築に注力することも含め、今後に期待したい。

2008/8/12 火曜日

アン・シュレッダー

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 1:11:26

個人情報や機密資料の取り扱いは益々厳しくなってきており、シュレッダーはほとんどの企業で導入されていることだろう。
 
一方で、最近、ここアメリカでは、「アン・シュレッダー」といって、裁断した紙片を繋ぎ併せて再現させるソフトウェアーが出回っている。紙片を数枚づつまとめてスキャンし、全ての紙片をスキャンしたら、ソフトを起動させる。そうすると、コンピューターが自動的に文書を再構築してくれるのだ。
 
 shredder.jpg
 
この製品の宣伝文句を見ていると、隠滅された社内不正の証拠を得るためとか、聞こえの良いことばかりが目に付くが、どう考えても、こういったソフトウェアーを使うのは、産業スパイやID詐欺の窃盗団しか考えれらないような気がする。
 
ただ、シュレッダーには、ストレートカットとクロスカットの二種類がある。ストレートカットとは、文書を短冊のように縦長に切り裂くものであり、クロスカットとは、紙吹雪状のものを指す。幸いなことに、アン・シュレッダーではクロスカットタイプのシュレッダーで処理された紙片を合成することは出来ないようなので、当面は、後者タイプの装置を取り入れるべきだろう。
 
クロスカットにも様々なサイズがあるが、紙片が小さければ小さいほど、セキュリティー効果が高いのは言うまでもない。扱う文書の機密度に応じて、適切なシュレッダーを選ぶ必要がある。
 
とはいえ、アン・シュレッダーは文字を認識してそれを繋ぎ合わせるものだから、漢字、ひらがな、カタカナが入り混じった日本語のような言語を再現することは、例えストレートカットであっても難しいと思う。テクノロジーの進歩がそれを克服するのも時間の問題かもしれないが。
 

2008/8/4 月曜日

詐称と因果関係

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 17:21:15

「他人から意図的に虚偽の情報を与えられ、それによって不利益を被ること。」法律の専門家の方からは厳しい指摘を受けそうだが、誤解を恐れずに言えば、これが被害者の側から見た詐欺の定義といえるかもしれない。
 
ただ、「虚偽の情報」と「不利益」の因果関係、つまり、どこまでの不利益が「虚偽の情報」によってもたらされたものなのかを判断することは、特にネットでの交流が盛んになっている今日では、とても難しいことだと思う。
 
先日、非常に極端な例ではあるが、この因果関係について議論を呼んだ事件があった。
 
ミズーリー州に住む49歳のある女性Aは、16歳の少年を装ってマイスペース(ソーシャルネットワークのサイト)にアカウントを開設した。そして、サイト上で、この女性の娘の友人でもある13歳の少女Bに接触し、甘い言葉を投げ掛け続けた。Bは内気な性格で、学校に行くこともあまりなかったため、このネット上で知り合った「少年」にのめり込んでいった。ところが、Aは突然態度を急変させ、「Bがいなければ世界はもっとよくなるはずだ」なとど、Bに厳しい言葉を浴びせた。ショックを受けたBはその夜に自殺した。
 
この事件は、アメリカで大きな注目を浴びている。法的には、情報の不正入手を目的としたコンピューターアクセスに対する規制はあるものの、ハラスメントを目的としてネット上でメッセージを送ることに関しては、法の整備が間に合っていないのが現状だ。にも関わらず、検察が強引に起訴に踏み切った背景には、世論の強い後押しがあるからだろう。自分の娘の友人、しかも精神的に不安定だったBに対するAの仕打ちは卑劣そのものであり、何とかして罪を償わせたいというのは、多くの市民に共通した意見だと思う。
 
とはいえ、これが悪例になると、今後罪刑法定主義の原則が軽視されるような事例が増える危険性もあり、法曹界からは批判も出ているようだ。
 
裁判の行方に注目していきたい。

2008/7/29 火曜日

エントラップメント

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 2:46:50

不正案件を含め、調査の過程で罠(エントラップメント)をしかけるようなことは許されるのだろうか?もちろんケースバイケースだろうし、全ての事例に当てはまる明確な答えなどないだろうが、トラブルを避けるための大切なトピックなので、今回はこれについて触れてみたい。
 
罠はおとり捜査にも似ているが、仕事中に腰を痛めて休職している労災保険詐欺を例にして考えてみよう。この場合、容疑者の容態を確かめるということで、彼の車の前に(ここでは公道ということにしておく)に壊れたテレビを置いておいて、彼が車で外出する際に、テレビを移動させなければならない状態をつくっておくような方法が用いられることになる。そして、腰を痛めているはずの彼が重いテレビを移動させるかどうかを確認するのだ。三流PI(私立探偵)の中には、タイヤ交換のシーンを撮影したいがために、容疑者の車のタイヤをわざとパンクさせてしまう者もいる。
 
パンクの例は問題外だが、罠を仕掛けるような手法が認められるかどうかについては、判例による部分が多く、私自身、弁護士と意見が分かれることもあった。
 
ただ、後に案件が司法の場で審理されることが予想される場合には、常に一点の曇りもない状態を維持しておかなければならない。従って、基本的には、罠を仕掛けることは好ましくない、というのが大方の見解である。
 
それでは、以前のコラム「営業部長による不正(http://i2bconsulting.com/htm/column.html#column005)」で触れた事例ではどうだろうか?あのとき、自身の勤める会社を通さず、裏で個人として仕事を請け負っていた営業部長を「釣る」ために、私は架空のプロジェクトを彼に持ちかけた。この例では、クライアントが彼の雇用主であったことなどから、許容範囲ということになるとかもしれない。
 
その他にも、早足で歩く対象者を撮影するために、通り道に紙幣を落としておいて、わざと立ち止まらせるような方法も昔から行われている。この程度なら、訴訟を伴わない調査では問題ないだろう。
 
どんなケースにおいても、案件の背景と今後の進捗の可能性を慎重に吟味した上で、罠の必要性を判断していく必要があるということだと思う。

2008/7/22 火曜日

人の習慣

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 11:01:56

情報漏えいというと、ハッキングや映画に出てくるようなハイテク手口が想像されがちだが、実際は、機密資料の覗き見など、ローテクなものが圧倒的に多いといわれている。
 
その根底にあるのは「人の習慣」である。諜報活動に携わる者が口を揃えること。それは「人というものは面倒なことが大嫌いで、習慣に固執するものである。そこに盲点が生じるのだ」というもの。当たり前のことだが、この意味が本当に理解され、現場に活かされている例を見ることは少ない。
 
パソコンのモニター脇に張られた、パスワードが書かれたポストイット。いけないことだと分かっていても、ログインするたびにパスワードを確認する手間が煩わしく、貼り付けたままにしておいてしまう。
 
重要情報が保存されたディスク。席を外す際には、鍵付の引き出しに片付けたほうがいいことは百も承知だが、ちょっとトイレに行くだけだからと、つい机の上に置きっぱなしにしてしまう。
 
アクセスコントロールのために設置したカギ付の頑丈なドア。毎回、いちいち上司の許可を得てカギを受け取っていては仕事がはかどらないから、ドアに物を挟んでおいて、開けたままにしておいてしまう。
 
こんな例は私達の周りにいくらでもある。規定や理由がどうのこうのではなく、我々はできるだけ面倒を避けようとするし、体に染み付いた習慣を変えることに大きな抵抗を感じるものなのだ。情報を盗む側というのは、こういったところにつけ込むのである。
 
「パスワードの管理を厳重にしましょう」、「CDディスクはカギ付の机に保管しましょう」、そういった呼びかけや規定は情報漏えい対策の第一段階ではいいのだが、そこから一歩踏み込んで、そういった指針をいかに効果的に導入するかということを考えなければ、期待する結果を得ることは難しい。
 
不正対策、情報管理、法令遵守… 様々な名の下に厳しい内部規定が設けられるが、結局、そこで促される行動指針の受け手は我々「人」である。不完全でミスを犯し、楽をしたがるという人の性質を理解し、それを内部規定に反映させることが重要ということだろう。

新しい規定を作ったのなら、モラルに訴えるだけではなく、違反に対する罰則で脅かすのでもなく、いかに「面倒要因」を減らして導入できるかがポイントになるのかもしれない。

2008/7/14 月曜日

依頼人の期待

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 10:23:01

我々の仕事で最も大切なことの一つは、第三者的な視点で調査を実施、レポートを作成することである。しかしながら、実際、依頼人の存在があってこそ我々は仕事にありつけるのであり、また、報酬を支払う側という立場上、依頼人は自分の望む調査結果を求めるものである。この辺りが難しいところだ。
 
以前に私が扱った案件でこんなものがあった。依頼人はニューヨークで会計士をしている男性で、彼の長女はサンタモニカの大学に通っていた。しかしながら、この長女がアパートで首をつって死亡しているのが発見された。警察の見解は自殺。遺書も残されていた。彼女は当時付き合っていたボーイフレンドから別れ話を切り出されたばかりであり、そのショックによる衝動的な行動と思われた。
 
しかしながら、父親の考えは違った。そのボーイフレンドには新しいガールフレンドがいたこともあり、彼らが共謀して愛娘を殺害したに違いないと思っていた。そこで、私のところに調査依頼がきたのである。
 
私は、まず地域の警察機関に連絡を取り、死亡現場の様子を撮影した写真数十枚と検視レポート、そして、遺書の原本を入手した。そして、エキスパートウィットネスでもある大学時代の教授達にも協力も仰ぎ、徹底的に当時の状況を分析した。首吊り自殺を偽装する場合、例えば、首の周りの締め跡が複数見られるとか、血液の沈下・凝固が不自然な位置にあるとか、様々なサインが見られるものだが、このケースでは、他殺のサインは一切確認されなかった。遺書についても筆跡鑑定を行ったが、本人による執筆である可能性が極めて高いことが分かった。
 
調査結果を見た依頼人は激怒した。「娘は自殺するような子ではない!他殺の証拠が得られなかったのは、調査が悪いからだ!」とのことだった。
 
私の仕事が完璧だったとは言わないが、この例では、依頼人が受け入れる調査結果は「娘は殺害された」というものだけだった。結果が初めから確定している調査など、あり得るはずもない。依頼人は教育レベルが高く、社会的な地位もある方だったから、そんなことは十分に理解していたはずだった。それでも理不尽な感情を発散するしかなかったのだから、余程混乱していたのだと思う。娘を失った父親の心境は理解できるだけに、私も複雑な気持ちだった。
 
これが不正調査であれば、不正の証拠をつかむということに意気込んでいた雇用主が、不正の事実は確認されなかったという調査結果に不満をぶちまけるということもあるだろう。


あの出来事以来、事前に「調査結果はあなたの期待とは異なるかもしれません」と必ず依頼人に確認しておくようにしている。

2008/7/7 月曜日

GPSあれこれ

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 0:55:41

GPS装置というものがある。普通は車のナビゲーションに使われるものだが、日本同様、こちらでも子供に持たせておいてその居場所を把握したりといった、安全対策に使われることもある。
 
一方で、GPS装置は不正調査においても非常に有効なものだ。私が過去に扱った案件でも、外回りの多い従業員の行動を監視するために車に装置を付けておいたり、車による移動時間が就労時間として換算されるような勤務形態では、意図的に車をゆっくりと走らせて時間を稼ごうとした従業員を、GPSの記録と走行時の渋滞状況と照らし合わせて問い詰めたこともあった。
 
併せて、当然ながら、GPS装置は尾行調査においても威力を発揮する。日本では、調査におけるGPSの使用はある意味グレーゾーンで、ほとんどの尾行調査で装置が使われていると聞いたことがあるが、こちらでは法律で明確に規制されており、例えばカリフォルニア州の場合、車両の所有者の承諾がなければ、装置を取り付けることは許されない。従って、先述の例では、従業員が社用車を使用してたり、事前に承諾を受けていれば、装置を取り付けることが可能ということになる。
 
以前にこんな事件があった。勤務時間内の行動調査において、ある調査員が従業員の承諾を得ずに、対象者の車両にGPS装置を付けて尾行をしていた。ところが、その車両が事故に巻き込まれてしまった。そして、現場を検分した捜査官によってGPS装置が発見され、そこから調査員の身分が判明。これによって、その調査員は当局より処分を受けることになった。
 
また、GPS装置にはこんな使い方もある。知り合いのある弁護士は、彼が派遣する調査員達にGPS付の携帯電話を持たせておいて、「依頼人に説明するため」というの口実のもと、調査員の行動を常に監視している。調査員にとっては気分がいいものではないだろうが、きちんと仕事をしている限り、問題ないはずだ。
 
GPS装置の使用は、犯罪者の監視という分野にも広がりつつある。現在、アメリカの刑務所は飽和状態で、各州・郡は、その対策に頭を悩ませている。その一環として、殺人などの凶悪犯罪を除き、再犯性が高い罪で収監されている囚人をGPSの装着を条件に釈放し、自宅で刑期を過ごさせるというケースが増えてきている。ノースカロライナのある地域では、家庭内暴力の加害者にGPS装置を付けたところ、再犯率が36%から14%に減少したというデータもある。
 
GPS装置をはじめとするテクノロジーの進歩は、我々調査員の手法を急激に変えつつある。過信は禁物だが、賢く利用したいものだ。

2008/6/30 月曜日

偽のテレビ局 −後編−

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 22:57:58

もちろん全ての例に当てはまるわけではないが、今回は詐欺的な営業をしているサイトをチェックするための、初歩的なポイントについて触れたいと思う。
 
ポイント1:連絡先
電話番号や住所がきちんと記載されているか?相手との連絡手段がメールだけでは、何かあったときにクレームのしようがない。フリーメールを使っているというのも考えものである。フリーメールのアカウントを作るには、身元の確認やクレジットカードの提示は必要ない。つまり、何かあったとしても、メール情報から使用者を追跡することが困難になるのである。
 
ポイント2:住所の表記
住所が「POBOX(私書箱)」となっているか?もしそうなら、トラブルがあって住所地に出向いたとしても、そこにあるのは郵便局だけということになる。また、「123 W. 1st St, Suite #1205」のような表記だからといって、高層ビルの12階にある立派なオフィスを想像してはいけない。「1205」というのが、メールボックス業者の私書箱番号だったりするからである。
 
ポイント3:登記
登記はあるか?「アクション25」の事例では、登記はなされていなかった。但し、アメリカにはDBAやLLCなど、「株式会社」以外にも多くのビジネス形態があり、管轄する政府機関も様々なので、一箇所に登録がないからとって、一概に怪しいというわけではない。また、ビジネスの登録があっただけで安心してはいけない。登記上のステイタスはアクティブとなっているだろうか?アクティブでない場合、手数料の滞納などが原因なので、要注意である。
 
ポイント4:BBB
アメリカにはベター・ビジネス・ビューローズ(Better Business Bureaus)
という団体があり、様々なビジネスに関するマイナス情報を提供している。色々と問題も指摘されているサービスではあるが、1つの基準にはなるだろう。
 
ポイント5:電話の対応
実際に電話をしてみること。回線が繋がらない(→ペーパーカンパニー、閉鎖の可能性)、会社名を名乗ることなく「ハロー?」とだけ答える(→オフィスを他のビジネスや自宅とシェアしている可能性)、受付の女性が出るだけで、いつも担当者は留守(→受付サービスの可能性)など、相手先の実態を示唆するサインをいくつも探ることができる。
 
ポイント6:サイトの登録日
アクション25のドメインは3ヶ月前、DVDの販売サイトのドメインについては、前月に得られたものだった。短期間に稼ぐだけ稼いで姿を消す詐欺サイトには、登録期間が非常に短いものが多い。
 
その他、今は皆さん得意の方ばかりだろうが、検索エンジンを使って調べるという手もあるだろう。
 
私の場合、まずは「About Us」に注目して、そこからチェックの幅を広げていくようにしている。いずれにしても、詐欺サイトを見抜くための完璧な方法はないので、チェックポイントとなる指針を増やし、被害に遭う可能性を減らしていくことが重要だろう。

2008/6/25 水曜日

偽のテレビ局 −前編−

Filed under: 調査コラム — yamaga @ 1:31:25

少し前に、偽のテレビ局を利用した詐欺事件が報告された。失業中のある女性が大手の仕事探しサイトからの情報で「アクション25」というケーブルテレビ局の求人広告を見つけ、ウェブサイト促進担当として家で働くだけで、年間890万円を稼ぐことが出来るとあった。
 
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家で小さな子供の面倒を見ながら仕事が出来ると思った彼女は、その求人に飛びついたのだが、ウェブサイト促進担当になるには、それなりの技術を身に付けなければならず、雇用訓練協会なる団体が提供しているトレーニングを受ける必要があり、まずはDVDを購入しなければいけないとのことだった。

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この時点で既に怪しいのだが、テレビ局ということですっかり信じ込んでいた彼女は、仕事をさせてもらえるならと早速DVDを購入。実際商品は届いたらしいのだが、その内容は全くのインチキで、詐欺に遭ったと感じた彼女は、テレビ局「アクション25」に連絡を取ろうとした。しかし、電話はいつも留守電。あとで調べてみると、テレビ局があるはずの住所には部品の修理工場があるだけで、そこのオーナーも勝手に住所を使われていたことに驚くばかりだった。
 
実は、テレビ局は架空のもので、いい加減なDVDを購入させるためのエサだった。いきなりDVDを見せるのではなく、初めに大手のサイトに掲載された仕事のオファーで釣っておいて、そこからDVDに結びつけているのが、今回の手口の興味深いところだ。そして、彼女はDVD代を詐取されただけではなく、自身の氏名、住所、クレジットカード番号を提供してしまったのである。
 
「アクション25」のホームページでは、リンクを上手に使って最新のニュースや気象情報が掲載されていて、普通は偽のウェブサイトと疑うようなことはないだろう。
 
こんな事件が後を絶たない。とはいえ、ネット全盛の今日では、ウェブに頼らなければならない部分も多く、難しいところである。
 
ただ、色々を相談を受けていると、こういった詐欺サイトにはいくつかの特徴があることが分かる。次回は、それらについてご紹介したいと思う。

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