2010/8/31 火曜日
指紋の話
昔から、容疑者を特定する方法として、指紋照合が行われている。以前、こちらでこんな事件があった。麻薬取引に関係しているある犯罪者が、外科医に頼み、足指の皮を指に移植して指紋を変えようとし、外科医と併せて逮捕されたというものだった。
また、他人の指紋を使って不法入国しようとしたという似たような事件も日本で報告されている。
刑事ドラマでもお馴染みの指紋。渦巻型とか、弓状型とか、一見しただけでもいくつかの種類があることに気付くが、実際、どうやって照合が行われるのか、ご存知だろうか?
指先を良く観察してみると、いくつもの線がぎっしりと表皮に詰まっており、各線が交わったり、分岐したり、点状になっていたり、二重になって縞状の模様を形成したり、途切れていたりしていることが分かる。指紋鑑定の際にポイントとなるのは、基本的に線や形状ではなく、「Ridge Ending(終始点または開始点)」や「Bifurcation(分岐点または接合点)」といった点である。
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抽出されたこれらの点の位置を比較することによって、鑑定は行われる。よく、刑事事件の裁判を傍聴すると、検察官が容疑者の指紋と犯人の指紋を大きなパネルに貼り付け、陪審員に説明しているのを見掛けることがあるが、これは、「Ridge Ending」と「Bifurcation」の位置を一つずつ示しながら、同じ場所に位置している、つまり同一人物の指紋であるということを説明しているのである。
当然ながら、合致する点の数が多ければ多い程、比較される二つの指紋が同一である可能性は高まる。アメリカでは、一般的に、二つの指紋が同一であることを示すためには、10箇所以上の合致は必要なく、7,8、9程度で十分であるとされている。ヨーロッパでは、12箇所における点の合致が必要とされることもあるらしい。
比較されている二つの指紋が同じものならば、必ず12以上の合致点が見つかるのでは?とお感じになる方もいらっしゃるかもしれないが、実際の捜査ではそう上手くはいかない。犯罪現場で収集される指紋というのは不完全であったり、部分的であることが多いからである。
ちなみに、掌や足指の指紋についても、貴重な証拠として採取、照合されることもある。
冒頭で、指先の皮を付け替えることによって指紋を変えようとする手口について触れた。私は生体学の専門家ではないので、100%定かではないが、こういった試みは、一時的には効果があるかもしれないが、すぐに生来の指紋に戻ってしまうものと思われる。ご周知の通り、私達の体皮は代謝によって常に入れ替わっており、指紋というのは、指の根深い細胞組織によって形成されるものだからだ。
普段、特に気に留めることもない自分の指先だが、こうして指紋について考えてみると、何とも奥深いものである。

ロス・アンジェルスで活躍する日本人探偵。トラブルシューター。アメリカの大学院を卒業後、米国私立探偵ライセンス、米国公認不正検査士資格を取得。海外調査、犯罪対策、各種カウンセリングを含め、国際的な調査案件を数多く手掛ける。