2008/8/25 月曜日
返品不正
商品の返品が不正に利用されることがあることは、ACFEのマニュアルにも掲載されている。アメリカでは日本と比較にならないくらい返品は一般的なことであり、それを受け付ける店側の基準も信じられない程低い。購入したTシャツを何回か使い、それを洗濯し、しかも縮んだ状態で返品してしまうこともあるのだから、驚きである。
私自身、先日、浄水器のフィルターを返品したのだが、その際、店員は中身を確認すらせず、箱のバーコードをスキャンしただけで、あっさりと受け付けてしまった。
あるリサーチによると、返品不正の被害額は年間96億ドルを超えるそうだ。
特に競争の激しい小売業界では、店側は多少疑わしい点があっても返品に応じるようにして、顧客を囲い込みたいと考えている。そんな理由もあり、信じられないことだが、少し前まではレシートがなくても返品に応じる店舗もあった。当時は、割引券を使って購入した商品を返品し、正規の値段で返金を受けるというような手口も流行っていた。
ところが、最近はあまりに不正が横行してきたため、店側の積極的に対策を講じるようになってきた。
あるケースでは、返品されたiPodsの中身を調べてみたら、バッテリーとチューインガムだけが入っていて、装置が抜き取られていたことがあった。
また、頻繁にアップグレードが行われる電子機器などは、しばらく使った後に返品し、新しいバージョンのものと交換していく行為を繰り返す例も見られた。
こんな状況では、返品カウンターにいつも長い列ができているのも頷ける。
原因の一つは、返品可能期間があまりにも長いことだ。通常、購入日から90日(3ヶ月)以内であれば、返品できることが多い。これでは、散々使ってから商品を返品してしまえと考える輩が出てくるのも不思議ではない。
一方で、大手家具店のIKEAなどは、返品不正の増加傾向を鑑み、商品に明らかな欠陥がある場合を除き、開封後の返品には一切応じないという方針を取っている。ただ、この方針も考えもので、IKEAは「商品が気に入らなければいつでも返品して下さい」と大きく宣伝しているのに、いざ返品しようとすると開封してあるからといって拒否するというのもおかしな話である。IKEA製品のほとんどは組み立て式であり、箱を開けずに「気に入る」かどうかを確認することなどできるわけはない。
いずれにしても、バランスが大事だ。IKEAのような方針を打ち出せば、返品担当の従業員は何も考える必要はないし、返品不正も減るだろが、顧客の足は確実に遠のいていく。適切なトレーニングを施し、正規の返品と不正な返品を見極めるための手順を徹底していくことが大切だと思う。




ロス・アンジェルスで活躍する日本人探偵。トラブルシューター。アメリカの大学院を卒業後、米国私立探偵ライセンス、米国公認不正検査士資格を取得。海外調査、犯罪対策、各種カウンセリングを含め、国際的な調査案件を数多く手掛ける。